「フィッツカラルド」鑑賞
映画に内在するドキュメンタリー性にこれほど驚愕したのはアレハンドロ・ホドロフスキー作品以来である。リュミエール兄弟が最初に映画を上映した時、観客が本当に列車が来ると恐れて逃げたという逸話に通じる。驚愕を写すために驚愕を実行した記録映画。実在の人物を基にしたフィクションであることなど吹っ飛んでしまうところを鬼才クラウス・キンスキーが見事に演じる。これもまた貴重なドキュメント。ヴェルナー・ヘルツォーク監督は「これ(そのシーン)はメタファーだ。何のメタファーかは知らないけどね」と語った。よくある「このシーンはナントカの象徴である」という批評のほとんどが阿呆らしく思えてきた。何かを証明したフィルムであることは確かである。何かはまだわからないけれど。
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