「サニー 永遠の仲間たち」鑑賞

また観てしまった。いつ観ても感動する。

感情移入できる対象の不在、なのに沸き起る感動の謎、きっとこれは純粋な物語への敬愛ではないのか。

終盤の展開はご都合主義に見える、しかし鵜呑みしてはいけない。これは確固たるアイロニーだ。そうなるわけがないと判断できるからこそ物語は輝く。

過去と現在という二重構成、その裏側に別の二重性が隠れている。

描かれる回想描写が現実離れしているのは、現在の主人公が記憶から無意識に捏造した過去への憧憬である。

リアリティラインを逸脱しているのではない、捏造した過去への憧憬がリアルなのだ。

その憧憬は観るもののそれと重なりさらに抽象的光彩を放つ。

数々の引用が見てとれる作品だが実に巧みな織り込みがなされている。見事な演出力である。

ドラマとはこういうことだ。

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